フィルムスキャンできるスキャナーが欲しいので現行機種と中古機種を比較・検討してみる その4 候補機を深掘りする
スキャナーを探してWebの海をさまよう今日この頃です。前々回ではエプソンの機種で、前回はキヤノンの機種で比較・検討し候補をあげてみました。
上げた候補の機種はエプソンがGT-X770/GT-X830/GT-X980で、キヤノンがCanoScan 9950F/9950FV/CanoScan 8800F/CanoScan 9000F Mark IIになります。この6機種で順位を付けると
エプソンは
- 第一候補:GT-X770(中古のみだがコスパが良さそう)
- 第二候補:GT-X830(新品で買える機種ならこれ)
- 第三候補:GT-X980(新品買えるしハイエンドの高スペックだが高すぎ)
キヤノンは
- 第一候補:CanoScan 9950F/9950FV (中古のみだが一回に30コマ取れるのが魅力)
- 第二候補:CanoScan 8800F(中古のみだが評判よさげなので)
- 第三候補:CanoScan 9000F Mark II(微妙なレビューを見たので終息時の特価狙い)
と言う順番になります。括弧内はその順位にした理由です。
今回はこれらの機種についてスペックや口コミ、レビューなど気になった点についてまとめてみたいと思います。
全機種共通の問題点
具体的な機種別の話に入る前に、全ての機種に共通する問題点をまとめます。
主に2点で、ドライバーの問題と原稿台ガラスのヨゴレについてです。まずこれらについてまとめておきます。
最新OS用のドライバーがあるか問題
まずドライバ-の問題です。ドライバーはハードウェア(ここではスキャナー)を動かすためのソフトウェアになります。これはOSの各バージョンに対応した物が必要になります。
スキャナーを中古で入手する場合、ドライバーディスクの欠品はよくあります。それに付属していても古い機種なら最新OSに対応していません。そこでメーカーサイトから最新OS向けのドライバーをダウンロードする事になります。
と言う事でドライバー提供状況をまとめてみました(並びは順位順です)。
機種名 | 対応OS |
GT-X770 | Windows10(64/32bit)/Mac OS 10.14 |
CanoScan 9950F/9950FV | Windows7(64/32bit)/Mac OS 10.6 |
GT-X830 | Windows10(64/32bit)/Mac OS 10.14 |
CanoScan 9000F Mark II | Windows10(64/32bit)/Mac OS 10.14 |
CanoScan 8800F | Windows8.1(64/32bit)/OS X 10.10 |
GT-X980 | Windows10(64/32bit)/Mac OS 10.14 |
ここでもキヤノンのやる気の無さが見えてきます。CanoScan 9000F Mark II以外はWindows10および最新のMac OSに対応していません。
ドライバーについてはDeer様よりこんなお話を頂戴しました。Windows7のドライバーでも動作するそうですのでよろしければお試し下さい。
私も9950Fを新品とヤフオクで3、000円で落札した2台を所有してますが、どちらもWin10で動いております。
ドライバーはWin7のドライバーでそのまま動いてますね
お試しください
ちなみにCanon製スキャナーはWindows/Mac共にCanoScan 9000F MarkIIとCanoScan 5600F位しか最新OSに対応していません。過去モデルも性能的にはまだ十二分に使えるんですけどね。
最新OS向けのドライバーが無い機種の場合、Windows/Mac共にVueScanという汎用スキャナードライバーでの利用が可能です。このVueScan、過去発売されたほとんどのスキャナーに対応しています。
VueScan
https://www.hamrick.com/
またキズ補正のDigital ICEやFAREにも対応していますし、連続取込にも対応しています。メーカーのドライバーより細かい画質の調整が可能な事もあり、あえてこちらを使う方もいらっしゃる様です。
かなり使えるVueScanですが、いくつか留意点もあります。それは
- $39.95のシェアウェア
- 使いこなすまでが難しい
- 参考になるサイトが無い
- 支払わないとスキャン結果にデカデカと透かし文字が入る
と言う所でしょうか。慣れるまでは大変ですが、慣れればかなり高機能かつかなり便利なソフトです。と言う事でドライバーはVueScanで解決可能です。ただし結構な価格なので安価にそろえるなら費用を考慮しておく必要があります。
原稿台ガラスの内側のヨゴレ問題
新品ならあまり関係ないのですが、中古の場合は対処が必要な部分です。
原稿を載せる台はガラス製です。古いとやはりガラスが曇ってきます。中古品の場合、特に内側の曇りがひどくなっている物が多いです。たまにかびてたり、変なヨゴレがあったりってのもあります。
この問題は分解清掃しか解決方法がありません。分解清掃自体は見た目の構造通り、相当簡単な部類に入ります。大体はガラズごと引き出せる様です。
実際清掃の前後でスキャン結果の色や解像感に違いが出てました。ただし「A4サイズのガラスを一点の曇りもホコリも無く磨き上げる」のは大変ですが、明確に違いが出るので特に中古の場合は必須作業になると思います。
また新品の場合、内側にホコリがある場合等はメーカー保証を使う方がよいです。ユーザーが勝手にやると保証切れるのがほとんどですし、現行機種は良い値段するのばかりなのでリスクの方が高いです。
ピントが甘い問題
これは構造上避けられない、フラットベッド型スキャナー全体のについて回る問題です。このサイトの比較記事がわかりやすいと思います。
フィルムスキャナー比較(EPSONGT-X980、 GT-X970、CANON 9000F、Nikon 9000ED)画像画質比較。フィルムスキャン&プリントのS鈴木写真変電所
http://www.filmscan-print-s.com/A02_65_9E9FGTX-01BW.html
単純にレンズと原稿の位置関係からピントが合わない、と言う問題です。しかもネガフィルムは保存状態や湿度によりカールするので特に狂います。この辺はフィルムスキャナーのホルダーの方がしっかり押さえていた記憶があります。
なので本当はフィルムスキャナー使えば良いんでしょうが、最高峰クラスのCoolScan 5000EDとか未だに良い値段しますから中々そういう訳にもいきません。
解決策はGT-X970やGT-X980の様に複数のレンズを備える事、(ピントの位置が変わらない様に)フィルムがカールしない形で固定してやる事、ユーザー側でピントの合う位置にフィルムを持ってきてやる事、と言った方法になってきます。
そして伝統なのかキヤノンのスキャナーはピントが合わない率が高いです。エプソンはピントが来る機種とこない機種の差が激しいです。どちらも困ったもんですね。
機種別のあれこれ
ドライバーとヨゴレの問題は全機種共通です。次に機種別のあれこれをまとめていきます。
正直な所、スキャナーはキヤノンよりエプソン派です。色はエプソンが微妙、ピントはキヤノンが微妙ですが色は補正が効く分マシだと考えています。でもどっちもどっちな所もあるので、「高解像度で大量または高速に読める」事を念頭に置きたいと思います。
エプソン GT-X770の場合
まずGT-X770について。見かけたマイナス情報は「スキャンが遅い」という事くらいでした。最高解像度だし、キズ補正あるし、安いしドライバーあるし、と言う事で第一候補としました。
スペック表から見ると 6,400dpiのスキャン速度はGT-X820と同じ21.3msec/lineでした。なのでネガスキャンの速度も大差ないと想定すれば1コマあたり134秒、2列12コマだと1,608秒だから大体26分、サバ読んで30分程度と思われます。
でもこれに補正を付けると物理的にスキャン回数が増えるので数倍の時間がかかります。それに1度に2列が気になりますが、一晩放置する形なら使える速度です。
最大の問題はヤフオク等を見てても出物が少なく、フィルムトレイなしばかり出てきて買える物がない事ですね。
エプソン GT-X830の場合
次にGT-X830について。そもそもは特に機種固有のネガティブ評価は見かけなかった事もあり、GT-X830を新品で買おうと思っていました。
ですが「高いな、GT-X820だと違うのかな?もっと古いのだと?」と思い始めた事がこのスキャナーシリーズの発端です。ちなみにハード的にはGT-X820と同じだそうです(ソースはこちら)。
なのでGT-X820を中古で買っても良さそうですが本体のみの出品ばかりな上、フィルムトレイがあると10,000円は軽く超える事、GT-X830と同スペックなのに修理受付が終わっている事から積極的に選べないと判断しました。
最善はGT-X980を買う事ですが高すぎます。消去法的にGT-X830を新品で買う事が次善策となりますが、ネガのスキャン完了後には不要となるスキャナーに3万出すのはなかなか躊躇する物がありますので積極的には選べません。
エプソン GT-X980の場合
最後のGT-X930について。2019年時点で画質最優先なら本来この機種を買うべきです。ただ高すぎて買えないとこのスキャナーシリーズの様な事を考える羽目になります。
ちなみにこの機種を買って満足する訳にもいきません。この口コミの比較画像くらいに差が出るので、買ってからが本番になります。それ位追い込みたいならこの機種を買うべきでしょう。
各種諸問題を解決し、高画質を得られるGT-X980ですが価格が高い上、デカくて重い事もネックです。少しでも安価にしようと前機種のGT-X970と比較した場合、
- CCDレンズの被写界深度を深くした
- フィルムフォルダーにアンチニュートンリングアクリル板装着
- 光源が陰極管(蛍光灯)からLEDに変更
- IEEE 1394端子廃止
と言う違いになります。この変更で一番の問題は「フィルムフォルダーにアンチニュートンリングアクリル板を装着した事」でしょうか。F-3200と言う機種でも付いていたんですが、静電気でホコリがえらく付いて大変だったそうです。
またIEEE1394(FireWireとも言う)の端子が無くなっています。もう古い端子になってきた事や、搭載しているPCが少ない事、端子自体のライセンス料が高い事から外されても仕方がないと思います。2019年時点のPCならUSB2.0でマシンパワー不足になる事も無いですから、あまり気にしなくてもいい所でしょう。
そして中古のGT-X970、中古でもフィルムホルダーもある完品の価格が高めです。ハード的な違いがGT-X980とない事が知れ渡っているので手放す人も少ないのかよい出物も大してありません。
色々と改善され画質最優先の方ならこれしか無いのも事実です。でもスキャナーに5万以上なんて私には出せません。良い物だし欲しいのは事実なんですけどね。
キヤノン CanoScan 9950F/9950FVの場合
続いてキヤノンの場合です。まずは9950F/9950FVについて。9950Fと9950FVは同一ハードです。なので併記していますが、9950FVは不思議と中古で出てこないです。なので9950Fがメインになります。
特筆すべきは1度に30コマスキャン出来る機種な事。これ以外無いです。 1コマ2分47秒、30コマで84分、補正を書ければさらに倍。これじゃ30コマスキャンすると時間かかりすぎってクレームでしょうね。偏見ですが以降の機種では2列12コマになっているのはこれが理由かも。
時間は出勤前にスキャンして帰ってからチェックすれば良いので問題ないのですが、それよりもドライバーが無い事、スキャン時のピントが甘い事の方が結構な問題かもしれません。
ですがドライバーは追加費用がかかるもののVueScanで解決可能です。あとはピントが許容範囲かどうか、手動で対策可能かどうかですね。レビューのサンプルを見る限りでは大丈夫そうです。
【那和秀峻の最新デジカメレビュー特別編】キヤノン CanoScan 9950F – デジカメWatch
https://dc.watch.impress.co.jp/cda/review/2004/10/19/259.html
電源がACアダプターなのが人によっては気になるかもしれませんが、Windows10用のドライバーが無い為かヤフオク等に安価できれいなフルセットがたまに出ますので狙ってもいいな、と考えています。
キヤノン CanoScan 8800Fの場合
CanoScan 8800Fの場合です。実は消去法的に選んだ機種なのでアドバンテージになるポイントが正直ありません。CanoScan8600F等の8000番台はヤフオク等の出品も多いのでそちらを選んでも良いと思います。
口コミ自体に悪い物はあまり見受けませんが、やはり見ていくとピントが合わない問題が出てきます。もうメーカーの持病なのかもしれません。そしてこれらもドライバーがありませんのでVueScanが必須になります。
性能よりもフィルムホルダー付いてる個体も出物が多い分入手しやすい、っていうのがメリットかもしれません。スキャン枚数が2列12枚ですから他に安いの無ければ選ぶか、と言うレベルですけど。
キヤノン CanoScan 9000F Mark IIの場合
キヤノンでフィルムスキャン出来る唯一の現行機、CanoScan 9000F Mark IIです。
2019年8月時点では積極的に選べません。なぜならメーカーサイト上の表記で「在庫僅少」だから。キヤノンでこの表記をされた機種はもう少しすると終息になり、大体は新しい機種が発売されるためです。
そしてこのブログの内容や現在の売価で考えると買うのは躊躇してしまいました。標準で「ピントが来てない」って言われたら流石に考えます。
フィルムスキャンのためにCanoscan 9000F Mark IIを購入してみた – SpaceFlier
https://www.spaceflier.com/entry/2016/04/10/113152
でもこの点はキヤノンの持病的な所でもあるので、価格次第かなぁと思っています。
最終的に買った機種
実はこの記事を書き上げるまでにスキャナー、買ってしまいました。
購入したのはCanoScan 9950Fです。やはり30枚一気にセットできる所が最大の衝動買いポイントでした。一気にセットできる方が本当にスキャンは楽になります。その代わりセットが大変なので位置合わせ様にライトボックスが欲しい所です。
ちなみに衝動買いしたのはこないだまで使っていた完動品がドライバー以外一式そろって3,000円だったから。相場と見比べても大分安かった様です。
ちゃんと衝動買いした事の問題も起きました。ドライバーは買ってからWindows7までだった事に気付く間抜けっぷりや、慌ててVueScanを調べる羽目になっています。
さらに原稿台ガラスのヨゴレ問題も体験済です。買ってスキャンしてる最中に「やけにガラスが白いなぁ」と思った事で気がついています。(実際ばらして清掃したらスキャン結果の解像感上がりました)。
これで色々悩んでいたスキャナーもひとまず落ち着いたので、次は原稿台ガラスのヨゴレ清掃方法やVueScanの使い方などをまとめていきたいと思います。
VueScanがあればスキャナー衝動買いしまくっての比較記事も作れるよなぁ、なんて思いましたがフラットベッド型のスキャナーはデカいんで置き場がね…。
一応「フィルムスキャンできるスキャナーが欲しいので現行機種と中古機種を比較・検討してみる その5 CanoScan 9950Fの分解と清掃」に続きます。